このコースの楽しみ方

 4世紀から5世紀頃に大和朝廷は成立したとされていますが、最初は豪族達の勢力が強く、 天皇中心の中央集権国家とは言えませんでした。 7世紀初めにおいては、蘇我氏の台頭が著しく、特に石舞台がその墓であろうとされている蘇我馬子以降は、 首相の首を自由に取りかえられることの出来た陰の実力者のような存在になっていきました。 そしてその息子の蝦夷・孫の入鹿の時代には、天皇を天皇とも思わない行動が目立ち、その独裁振りが次第に周りの反感を買うようになっていきました。

 そんな時、天皇家を中心とした国家を作りたいと思う中大兄皇子がでてきます。 そして、仏教を自分達の政治に利用した蘇我氏に対して快く思わない中臣鎌足。 そして大派閥を離脱した新しい党のように、同じ蘇我氏でありながら入鹿の独裁ぶりに反感を感じる蘇我倉山田石川麻呂らが一つにまとまり、 蘇我入鹿の首をはねるというクーデターを起します。 これが有名な大化の改新(乙巳の変)と呼ばれるものです。これによって、蘇我の本家は滅亡します。

 ついに目の上のたんこぶがなくなった天皇家のホープ中大兄皇子は、急激に様々な変革を行います。 そして数々の政敵を抹殺していき、大津に都を移し、天智天皇として即位します。 一方武勇に優れ人間的魅力を持った大海人皇子は、皇太子として天皇の有能な右腕としてどんどん人望を集めていきます。 当時の習慣としては、弟にその位を継承していくのが普通でした。

 トップとしてはかなり有能であった天智天皇でしたが、彼もやはり人の子。 年を重ねる度に自分の子供である大友皇子がかわいくなり、皇位を自分の息子にという気持ちに傾いていきます。 こういう雰囲気は自然と伝わるものです。それでなくても兄弟の間には、絶世の美人であり歌の世界の頂点にいた額田王をめぐって ライバル関係にあり、結局大海人皇子の方が兄に譲ったという経緯もありました。そんなこんなで、兄弟の間には深い溝が出来てきたのでした。

 そんな中、天智天皇は不治の病にかかります。だんだん病状が悪化して行く中で、天皇は病室に大海人皇子を呼びます。 まさに天皇の病室に入ろうとした時、彼に心を寄せる役人がこうアドバイスをしてくれました。 「どうか、返答には充分気をつけて下さい」と。そして病室に大海人皇子を迎え入れた天皇がこう言います。 「私にはもう先がない。私の後を弟であるおまえが継いでくれ」と。

その瞬間に、大海人皇子の脳裏には先のアドバイスが浮かび上がります。

 そして皇子はゆっくりと「私にはそのような気持ちはありません。僧侶となって吉野に入り、天皇の病気平癒祈願をしたいと思います」と言って、 すぐに頭を剃り武器を一切返還し、妻と幾人かの息子達、そして僅かな家来と女人達だけで吉野を目指します。 その光景を見た大津の役人はこうつぶやきます。「野に翼をつけた虎を放ったようなものだ」と。

 そしてたった一日で飛鳥についた一行は、石舞台の近くで泊まり、すぐに吉野を目指します。 吉野に入る事は、彼にとっては大きなカケでした。というのはこういう前例があるからです。 大化の改新によって、本来天皇になるべき古人大兄皇子は、中大兄皇子を恐れて同じように吉野に逃れますが、殺されたという経緯がありました。 そんなことがありながら、敢えて吉野を目指したのでした。雪の降る中を一行は、厳しい芋峠越えをし吉野に入ります。

 そして、約8ケ月間吉野で充電した大海人皇子は、天智天皇亡き後を継承した大友皇子を中心とする大津軍を打倒するため吉野から出陣し、 見事壬申の乱に勝利します。このように日本史上において、真の天皇となった天武天皇の出発地は吉野だったのです。 その8ケ月は、彼にとってはどんな時間だったのでしょうか。煩わしい人間関係や、激しい政権争いから逃れて、 山紫水明の吉野ですっかりリフレッシュしたのではないでしょうか。 後の持統天皇となる讃良皇女と、宮滝の清流で心ゆくまで川遊びに興じたかもしれません。 又皇子にとっては、吉野が持つ霊力を体得するための修行期間だったのでしょうか。 木登りや狩猟・魚取りの上手な国栖の子供たちが、皇子の息子達の遊び相手となったとなったのでしょうか。

 今回の「大海人皇子の道」は、前半は大海人皇子が大津軍との決戦を決意し、出陣した最初の道と『日本書紀』に記されている「歴史の道」です。 矢治峠を越えた所には、今の津風呂湖はもちろんなく、津振川があったとされています。 そして後半は、「金福寺縁起」「宇治拾遺物語」「源平盛衰記」「謡曲・国栖」などに記されている大海人皇子にまつわる逸話のポイントを歩く 「伝承のポイント」です。特に1300年以上もたった今でも「犬塚」の伝承が生きているなど、 大海人皇子と国栖の人々との関係は脈々と続いています。そんな伝承が今も生き続ける道をこれから歩いてみませんか。

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