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(激つ河内・宮滝)
み吉野の瀧の白波知らねども 語りし継げば古思ほゆ
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土理宣令(巻3-313)
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毎年にかくも見てしかみ吉野の 清き河内も激つ白波
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笠 金村(巻6-908)
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山高み白木綿花に落ち激つ 瀧の河内は見れど飽かぬかも
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笠 金村(巻6-609)
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神柄か見が欲しからむみ吉野の 瀧の河内はみれど飽かぬかも
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(巻6-910)
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泊瀬女の造る木綿花み吉野の 瀧の水沫に咲きにけらずや
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(巻6-912)
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万代に見とも飽かめやみ芳野の 激つ河内の大宮所
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笠 金村(巻6-921)
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皆人の命もわれもみ吉野の 瀧の常磐の常ならぬかも
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笠 金村(巻6-922)
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隼人の瑞門の磐も年魚走る 吉野の瀧になほしかずかり
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大伴旅人(巻6-960)
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落ち激ち流るる水の磐に触れ 淀める月の影見ゆ
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(巻9-1714)
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み芳野の瀧もとどろに落つる白波 溜りに妹に見せまく欲しき白波
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(巻13-3233)
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(象山・象の小川)
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大和には鳴きてか来らむ呼子鳥 象の中山呼びそ越ゆなる
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高市黒人(巻1-70)
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わが命も常にあらぬか昔見し 象の小河を行きて見むため
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大伴旅人(巻3-332)
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み吉野の象山の際の木末には ここだもさわく鳥の声かも
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山部赤人(巻6-924)
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夢のわだ言にしありけり現にも 見てけるものを思ひし思へば
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(巻7-1132)
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(三船山)
王は千歳に座さむ白雲も
三船の山に絶ゆる日あらめや
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春日王(巻3-242)
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三吉野の御船の山に立つ雲の
常にあらむとわが思はなくに
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柿本人麻呂(巻3-244)
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瀧の上の三船の山は畏こけど
思ひ忘るる時も日もなし
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車持千年(巻6-914)
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朝霧にしののに濡れて呼子鳥
三船の山ゆ鳴き渡る見ゆ
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(巻10-1831)
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(菜 摘)
吉野なる夏実の河の川淀に 鴨そ鳴くなる山陰にして
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湯原王(巻3-375)
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大瀧を過ぎて夏身に近づきて 清き川瀬を見るが清けさ
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兵部川原(巻9-1737)
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わが屋戸の浅茅色づく吉隠の 夏身の上に時雨降るらむ
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(巻10-2207)
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(秋津)
かくのみし恋ひや渡らむ秋津野に
棚びく雲の過ぐとはなしに
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大伴千室(巻3-693)
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み吉野の秋津の川の万代に
絶ゆることなくまた還り見む
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(巻6-911)
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み吉野の蜻蛉の小野に刈る草の
思ひ乱れて寝る夜しそ多き
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(巻12-3065)
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